ドアを閉める

 

 

 

加湿器が水を飲む音が聞こえる。

ちゅうぶらりんな体でもその音を捉える。

天井の電球を見て 思い起こすのは

子供の頃 子供がもっと子供の頃、

弟が子供の頃

今の目線は子供の頃の私が弟を見る目線

今の目線は母が私たちを見る目線

昔の私がそこに立って私を見ている目線

感じるのは ただ

こんなにもいくつものことを思い出せることと

時間という概念 遠くなるばかりなのに

近いという不思議な感覚と錯覚

 

歌の一節で思い起こす心

メロディで、それよりも特ににおいで

さっきのドアを開ける瞬間のどこからかただよってきた

甘いようなかすかな匂いは、昔母親からもらった、

パリの土産だとかいう古い香水のような

父が当時好んで使っていたピンクの粉石鹸のような

ドアを閉めるともう忘れるそんな出来事なのに

涙が出て、何だろうと思う。

 

ドアを閉めると忘れる。

忘れたことに気付いてまた開いてみる

首を傾げてまたドアを閉しめる

そんな繰り返し

一度閉めたドアの向こうにはもう行けないのだ

少し考えて、でもまた毎日に戻る。

 

 

 

 

 



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